切断酵素でHIV消滅・細胞実験、実用化には課題

HIV/エイズ治療の手ががかりになるかも知れない実験結果が発表
されました。 本日はこのニュースをお送りしましょう。

記事:共同通信社より             【2006年5月17日】

エイズウイルス(HIV)の増殖に必要なリボ核酸(RNA)を切断する
酵素を使い、感染した細胞中のウイルスを消滅させ、細胞死を誘導した
との実験結果をタカラバイオ(大津市)が16日までにまとめた。

この酵素はウイルスや感染細胞以外のRNAも切断するため、
生体内で特定の標的だけを狙う方法など実用化には課題があり、
同社は今後、動物実験を進める。

同社は、特定の塩基配列を認識しRNAを切断する酵素を見つけた
として研究を進めており、そのうちの1つ、大腸菌の毒素タンパク質
「MazF」で実験した。

HIVが感染しやすいT細胞という免疫細胞に、このタンパク質の遺伝子
を組み込み、感染するとタンパク質ができるようにした。
これにウイルスを感染させると2-3週間後ウイルス細胞はなくなった。増殖過程のメッセンジャーRNA切断しているという。

研究結果は8月に東京で開かれる日本遺伝子治療学会で発表する。

ちょっと、分かりづらかったかな?これは、簡単にいうと、HIV感染を
させる前に、HIVターゲットになるT細胞という白血球の遺伝子に
ちょっと、仕掛けをしておく。
そして、HIVが感染した瞬間にブービートラップのように、タンパク質がつくられ、それが酵素となり、その酵素が、
HIVのRNAを切断し、理論上、HIVは、死滅するというわけ。

ただし、その時、HIVが感染していたT細胞ごとなくなるというのが、
この方法の、問題点かな。
というのも、この酵素を、普通に治療薬として用いると、おそらく、
すべての体内の細胞のRNAを切断してしまって、
HIVにのみ効かす、なんてことは、できそうもないし、さらに、
すでにHIV感染している、T細胞の遺伝子に、その時点で、
ブービートラップをしかけていく、なんてことは、
できそうにもないからね。

なにしろ、問題はありそうだけど、価値ある研究であることには、
違いないよ。しかも、日本の企業だし。

あたたかく見守りましょう。

PAGETOP