クラミジア属である、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis:CT)という病原体によって感染する病気です。
この病原体は、ふつうの細菌よりも小さく、偏性細胞内寄生性細菌と呼ばれ、人体では、その細胞内でしか生きられません。
一般的に、男性性器と女性の膣を用いた普通のセックスによって感染しますが、最近では、男性性器と男女の口腔・咽頭を用いたオーラルセックスや男性性器と肛門(やはり男女共)を用いたアナルセックスによっても、感染が広がっていくことが分かっています。
クラミジア・トラコマティス(CT)のライフサイクルを考えると、感染してから、約10日から2週間経ったところで、症状を十分に発現させるだけの量に増えてくると考えられます。
ただし、感染時に他の細菌が存在したり、あまりにも大量のCTが移入された場合は、それよりも早く症状が完成するようです。
一般的には1週間から3週間といわれています。
クラミジア・トラコマティス(CT)は、元々、ヒト、トリ、マウス、ヒツジ等を宿主としている細菌です。
これは、こういった生物の細胞質内でCTが増殖を繰り返すことができるということで、そこには封入体という特殊な構造をつくることが知られています。
封入体という特殊構造は、時として、我々人類に対して不利に働くと言えます。
これは、クラミジア・トラコマティス(CT)がその増殖の場を封入体の内部とするため、その外側に存在する封入体膜が、がっちりとCT本体を包み込んでしまうのです。
もともと外部に毒素を放出しないCTがさらにカプセルに包まれたらどうなるのでしょう。
答えは簡単です。人間には炎症反応が起こりません。
さらに、このことにより、感染防御のための強い免疫のシステムが作動しないままです。
こういったことから、CTは不顕性感染がおおく、持続感染しているといった状況がうまれ、また、たとえ感染したばかりで体内にCTの抗体が存在していても、新たなCTに感染してしまうといったことが起こるのです。
クラミジアは次の4種に分類されます。
この中で今ここで問題にしているのは、もちろん(1)のCTですが、このCTはさらに3種類の生物型(biovar)に分けることができます。
これでわかることは、普通、クラミジア・トラコマティスとよばれている病原体は、2種類の性行為感染症をつくることができるということです。