毛じらみ症とは?

吸血性昆虫であるケジラミ(Phthirus pubis)が寄生する事により発症する疾患で、
主に性行為によって感染する。
従来より毛じらみが病名として用いられてきたが、病原体としてのケジラミと区別する為、
毛じらみ症といわれるようになった。


シラミの種類

ヒトに寄生するシラミは3種類ある。(シラミ目:Anoplura)
①ケジラミ
②アタマジラミ
③コロモジラミ
この中でSTDとされるのは①のケジラミだけである。


ケジラミの生態

シラミ類は幼虫から成虫まで雌雄を問わずヒト(宿主)より吸血し、血液を栄養源としている。
ケジラミの吸血は1日に数回行われるとされ、幼虫はその血液を栄養とし、成長、脱皮を繰り返し、
やがて、成虫となる。そして、交尾後、雌は産卵する。
卵は毛の基部近くに産み付けられ、セメント様物質で毛に固定される。
産卵後の卵は7日前後で1齢幼虫が孵化し、5~6日で脱皮し2齢幼虫へ、さらに4~6日後の3齢を
経たのち4~5日で成虫となる。成虫になると雌は1~2日後には卵を産み始める。
以上より、ケジラミのライフサイクルは3~4週間であるといえる。
さらに、成虫は3~4週間生き続け、その間に30~40個の卵を産むとされる。


毛じらみ症の症状

寄生部の痒みが唯一の症状とされ、痒みの割に皮疹がないのが特徴である。
主に陰部、股部の痒みを訴えることが多いが、肛門周囲、腋毛、胸毛、大腿の短毛に
寄生してしまった場合は、これらの部位にも痒みを覚える。
従来、ケジラミは頭髪には寄生しないと言われてきたが、これは誤りで、
頭髪はもちろんのこと、鬚毛、眉毛、睫毛にも寄生することが知られている。
痒みを自覚するのは、感染後、1ヶ月~2ヶ月が多い。
また、痒みの程度は個人差があり、ケジラミの寄生数に必ずしも相関しない。
このことは、痒み(掻痒)の発症機序がケジラミの唾液による一種のアレルギー反応
であることを想定させる。
さらに、痒みの強さのあまり、掻きすぎて、湿疹を形成したり、二次感染を併発したり
することもある。


ケジラミの感染経路

主として陰毛の直接接触による。一方、家庭内では、親子間の感染も多く
特に接触の多い母子間の感染が多い。
毛布などの寝具やタオル等を介する間接的感染経路もある。
しかし、ケジラミは宿主であるヒトから離脱すると、たとえ良い条件下においても
生存期間は48時間以内であったり、1日に10cm程度しか動けないことを
考えると、性行為による感染経路が主であるといえる。


毛じらみ症の診断

陰毛部の痒みを訴える患者で

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