尖圭コンジローマ・HPV感染症(3)

本日はHPVの(3)ですが、最近、このHPV感染の患者さんが、
増えてきた為、急いでUPしました。

性器HPV感染のサインや徴候
性器HPV感染症に罹っている大部分の人は、自分が感染している
ことを知りません

ウィルスは、皮膚、または、粘膜生きていますが、通常、徴候を
引き起こしません

もちろん、一部の人達には、目で確認できる、性器のイボとしての
症状や、子宮頚部、外陰部、肛門などの前癌病変としての変化が
認められます。
この場合のイボとは、もちろん尖圭コンジローマのことです。
また、HPV感染は、大抵、癌にまで至るということはありません

性器のイボは、通常、柔らかく、湿っていて、ピンク色か肌色の
ふくらみとして、現れます。そして、盛り上がるか、平坦か、
単発か、多発か、大きいか、小さいか、カリフラワー状の形状
呈するか、呈さないか、といったことで、その外見を決定づけて
いきます。また、それらは、膣口や肛門付近の外陰部、子宮頚管、
ペニス、陰嚢、ソケイ部、腿などに出現します。
こういったイボは、感染者との性的な接触の後数週~数ヶ月以内
に現れるといわれていますが、全く出現しないこともあります。

性器のイボは、視診によって診断されるのが普通です。
治療は、外用薬(5-FUポドフィリン)を塗布する方法と、
レーザー電気メスなどの機器を用いて、切除したり、
蒸散させてしまう方法があります。
また、これらの治療に、その患者さん自身のイボに対する免疫を
上げるため、内服薬を加えることもあります。
(中には静観を決め込んで、自然脱落するまで待つ、なんていう
方法もあるにはありますが、いかんせん、かなり時間が
かかってしまいます。自分の体内でHPVに対する抗体が産生
されなければ、ほんとの意味で治癒したとは言えないので、
方法論としては正しいと言えるのでしょうが。。。)


HPV感染はどうなっていくのか?
女性のHPV感染者の大部分は、性器のイボからではなく、
子宮膣部及び頸管の細胞診(PAPテスト)の異常所見から、
その診断に至ります。
PAPテストは、一般に、子宮頸癌やその前癌病変のスクリーニング
に用いられる、最もすぐれた方法です。そして、これらの疾患の多くは、
HPVとの関連が認められるため、PAPテストの所見の読み取り方に
よっては、HPVのスクリーニングにもなるわけです。
(もちろん、熟練した、病理医においては、ヘルペスウィルスや
クラミジアの診断に至ることもあります。)
また、PAPテストによって、HPVが陽性であるという診断のついた
女性には、HPVのDNA検査を加える加えることによって、より精度の
高い診断が可能になります。
(ただし、現段階においては、PAPテストもHPV/DNAもあくまで、
女性のための検査で、男性には、方法が適さないとされています。)


HPV感染の治療
残念ながら、HPV感染そのものに対する治療法はありません
しかし、大部分の女性(たぶん男性も)において、HPV感染は
ひとりでに勝手に治ってしまいます。
(もちろん、フォローは必要ですが)
このことから、治療の対象となるのは、HPVが原因だと考えられる
性器のイボや、子宮頸部の前癌病変ということになり、
決して、本病原体であるHPV本体に対してではないことを
覚えておいて下さい。
(先日、子宮頸癌を防ぐHPVワクチンが米国FDAで認可された
という記事をUPしました。詳しくはトピックスをご覧ください。)


HPV感染と子宮頸癌
様々なHPVは、まず、PAPテストに軽い異常を引き起こします。
さらに、性器型HPV約30種のうち、10種程度ある、子宮頸癌関連
HPV
が感染した場合には、PAPテストはもう少し、異常の程度を
強める
ことになります。
ただ、たとえそうであったとしても、大部分の方(90%)のHPV感染は
2年以内に、検知されなくなります
そうならなかった方は、持続性のHPV感染といえるのだけれど、
それが、高リスクHPV感染であった場合、初めて、子宮頸部癌
主な危険因子となりえるのです。

PAPテストは、子宮頚管上皮において、前癌状態や癌状態にある
細胞を見つけ出すことができます。
定期的なPAPテストと、必要に応じて治療を行うといった医学的な
フォローアップ
は、HPV感染によって起こっている、前癌病変を、
生命を脅かすであろう子宮頸癌に発展するのを確実に防いで
くれる方法
です。
米国では年間、約1万人の女性が、浸潤性の子宮頸部癌
なっていきますが、そのうち、3900人余りの方が、
この疾患で、命を落とします
この、浸潤性の子宮頸部癌になる、大部分の女性は、定期的な
PAPテストを行っていなかったという統計があります。

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