今回でもう6回目になるんだね。 淋菌による感染症は1993年以降、男女ともに増加しているんだ。 これは、淋菌性の疾患が、尿道炎や子宮頚管炎ばかりではなく、 咽頭や直腸へ拡がっていることも意味している。 ただ、男子の尿道炎の10%は自覚症状がなく、女子の頚管炎に いたっては、ほぼ全例、無症候。これは、確実に感染源となってしまう よね。さらに、咽頭感染者の多くも、なんら自覚症状なく、無症候に 経過するため、やはり、感染源になってしまうよね。 特に、30代以下の男性の淋菌性尿道炎の患者さんの多くは、 オーラルセックスのみにて、その感染が成立していることがあり、 潜在的に、女子の淋菌咽頭感染者は、多いのではないか? なんてことも、考えられるよね。 じゃ、今回のお勉強に入りましょうか。 淋病の合併症 未治療のまま、淋病を放置すると、男性、女性共に取り返しのつかない 問題に遭遇する可能性があります。 女性において、淋病は骨盤内炎症性疾患(PID)のありふれた原因のひとつです。米国では年間におよそ100万人の女性が このPIDに罹患すると言われていますが、それらの女性すべてに わかりやすい症状があるとは限りません。 ただ、症状のある方たちのそれは、腹痛と発熱を伴い、 かなり深刻であると言えます。というのも、PIDは骨盤内に膿の溜まった ポケット(膿瘍)を形成し、長期にわたる骨盤痛(腹痛・腰痛)の原因と なるからなのです。これはさらに、PIDが、 続発する不妊症や子宮外妊娠を 引き起こすのに十分な病理学的な理由を有しているということを 意味しています。 男性においては、淋病によって、痛みを伴った精巣上体炎となり、 造精機能が障害され、不妊症に至るということがあります。 淋病は血液や関節にまでその活動の場を広げることがあります。 こういった状態では、まさに生命の危機的な状況と言えるでしょう。 さらに、HIV感染において、淋菌感染者は、よりHIV感染を受けやすく なり、またHIVキャリアが淋病である場合も、パートナーに HIVを感染させ易くなるといった事実があります。 どうだったかな? つまり、淋病っていうのは、罹ってしまったら、治せばいいって いうのはもちろんなんだけど、後から起こってくる、合併症のこと を考えれば、できれば、罹りたくない疾患だよね。 もちろん、それ以外の性感染症だって、同じことだけど。

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