[ワシントン州シアトル] 2006年2月16日
 細菌性膣症(BV)は一般的な女性の感染症の1つですが、
 その原因は、まだ、研究者や医師にもほとんどわかっていません。
 米国での発症率が、白人女性の10~20%、アフリカ系女性の
 30~50%といわれるこのBVに新たな発見がありました。
フレッドハッチンソン癌研究センター(FHCRC,シアトル)感染症プログラム
 のDavid Fredricks博士らは、従来からの培養ではなく、PCR法を
 用いて、細菌のDNAを増幅した後、その塩基配列を決定する、
 といった方法をとり、この度、新たに、数種のBVの原因となる細菌
 を同定しました。
BVの再発率は30%以上と高率なのは、今回、新たにわかった
 これらの細菌が原因となっている可能性があります。
 今回の検出が、これら新しい細菌をターゲットにした新しい診断法や、
 今までの治療法の改善につながるかもしれません。
「ほとんどの細菌感染では、細菌を同定(決定)してから、治療を
 行うが、BVの場合、我々が何を治療しているかわからないという
 問題点がある。これらに関わる細菌を明らかにし、抗生剤治療の
 適応を、患者単位で決定できるようにする必要がある。」
 と、同博士は述べています。
 さらに、今回の発表で、博士は、BV関連の細菌合計35種類を一覧に
 しました。これは今までの2倍の数に当たります。
 報告によれば、19種が新種でその中でも、Clostridium phylumに
 属する、新しい菌株が、3種類同定され、BV関連菌#1・#2・#3と
 名付けられました。
 これが、もし、膣分泌物に検出されれば、BVと診断できますが、
 逆に、すべてのBVに、このClostridium様細菌が、存在するわけ
 ではありません。
今回の発表で、ヒトと微生物の作り出す生態系が、きわめて複雑で
 あることを再認識されられますね。