<前の記事から>
そんなまずい状況を救ってくれるのは、なんと日本人だった。
満屋教授バンザイ!!
記事:共同通信社 【2006年8月15日】
【ワシントン14日共同=吉本明美】
既存の薬が効かない多剤耐性エイズウイルス(HIV)にも
高い効果を示す抗HIV薬を、熊本大の満屋裕明(みつや・ひろあき)教授
や米パデュー大(インディアナ州)のアラン・ゴーシュ教授ら
日米共同チームが開発し、14日までに米食品医薬品局(FDA)が
治療薬として承認した。
先進国、発展途上国ともに深刻な脅威となっている耐性HIVへの
幅広い効果が確認された薬は、世界で初めて。
別の薬の3倍以上の効果があるなど患者には大きな朗報で、
専門家らはこの薬が今後、エイズ治療の主役になる可能性があると
みている。臨床試験の成績などは、カナダで13日から始まった
国際エイズ会議で発表される。
ダルナビルと呼ばれるこの薬は、エイズ治療に広く使われている
プロテアーゼ阻害剤(PI)の一種。
ゴーシュ教授が合成し、満屋教授が生体内での効果を確認、
臨床試験へと進めた。
プロテアーゼはHIVに含まれる酵素で、HIVの増殖に必要な
タンパク質を正しく切断する「はさみ」の役割を果たす。
PIは酵素に付着してはさみを切れなくし、HIVの増殖を止める。
既存のPIは、酵素の成分であるアミノ酸の端に結合する性質があり、
HIVの遺伝子が変異してアミノ酸が変わると効かなくなってしまう
弱点があった。
これに対しダルナビルは、アミノ酸が変わっても影響ない場所に
結合するため耐性ができにくい。
PIなどに耐性が検出された患者への臨床試験では約70%に
治療効果がみられ、別の薬の3倍以上高かった。
FDAは患者への恩恵が大きいとして、約半年でスピード承認した。
薬はベルギーのティボテック社が製品化した。
満屋教授は世界初の抗HIV薬「AZT」の開発者。
その後2剤を世に送り出しており、これが4剤目となる。
この薬剤の作用は、HIVが持っているプロテアーゼという酵素を
使い物にならなくさせるってことなんですが、
これだけだと、いままでのものと何がちがうの?ってなりますよね。
でも、HIVに変異がおきた時、今までのプロテアーゼ阻害薬では
防ぎきれなかったHIVの増殖を、この薬では70%という高い確率で、
抑えることができるという、まさにミラクルな薬剤なのです。
人類は、当分、この薬剤に未来を託すことになりそうです。
そして、この薬が我々の母国の日本の研究者によって
創り出されたという事に私たちはもっともっと胸を張っても
いいのではないでしょうか。